近年、「せどり」は副業や個人事業として注目を集めており、メルカリやAmazonなどを使って実践する人も増えています。とはいえ、これから始めたい初心者にとっては、「そもそもせどりとは?」「どうやって始めるの?」「稼ぐには何が大事?」といった疑問が多いのではないでしょうか。
本記事では、せどりの基本的な仕組みや種類から、初心者が始めやすい方法、さらにメリット・デメリットまで分かりやすく解説します。
せどりとは
副業やECサイトを活用した個人事業で人気の「せどり」とは、どのようなビジネスなのでしょうか。せどりとは、商品を安く仕入れて高く売り、その差額(利益)を得る物販ビジネスのことを指します。仕入れ先は家電量販店やリサイクルショップ、フリマアプリなどさまざまで、販売先としてはAmazonやメルカリなどがよく使われています。
たとえばAmazonでは比較的高値で売れやすい傾向があり、発送代行サービスを活用することで、発送作業の手間を減らすことも可能です。そのため、せどりを実践している多くの人にとって使いやすい販売先のひとつとなっています。また、特別なスキルや資格が必要なく、空いた時間でも取り組める点も、せどりが人気を集めている理由のひとつです。
売れる商品をリサーチし、利益を出すという流れは、他のビジネスにも活かせる経験となるでしょう。
せどりの4つのメリット
せどりは、初心者でも始めやすく、少ないリスクで収益を得られる副業として注目されています。ここでは、せどりを行うことで得られる4つの主なメリットを紹介します。
初期投資費用が少ない
せどりの大きなメリットのひとつは、初期投資が少なく、気軽に始められることです。実店舗のように、家賃・光熱費・内装費などの初期コストがかからず、パソコンやスマートフォンがあれば、すぐにスタートできます。
販売はメルカリやAmazonなどのECプラットフォームを使えば可能で、多くのサービスが初期費用無料、あるいは低コストの月額プランで利用できます。このため、在庫を持ちすぎない限り、リスクを最小限に抑えた形で副業をスタートできるのが特徴です。
スキルがなくても始められる
せどりは、専門的なスキルや知識がなくても始められる点が大きな魅力です。仕入れ・販売・発送という基本的な作業を繰り返すビジネスモデルのため、特別な技術や経験がなくても取り組むことができます。
実際に、スキマ時間を使って少額商品から始め、徐々に慣れてきたら高額商品の仕入れに挑戦するといった形で、段階的にスキルを身につけていくことが可能です。また、ネットショップの開設や出品方法に不安がある場合でも、初心者向けの操作性に優れた販売プラットフォームやせどり専用アプリが豊富に揃っているため、環境面でもサポートが充実しています。
自分に合ったツールを選べば、よりスムーズにスタートできるでしょう。
自分のペースで副業できる
せどりは、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に取り組める副業です。商品を安く仕入れることができれば、定価近くで販売するだけでも利益が出るため、他の副業に比べて準備にかかる時間や手間が少なく、すぐに始めることができます。
発送は注文が入ったタイミングで対応する必要がありますが、仕入れや商品リサーチは、本業の休憩中や通勤時間、休日などのスキマ時間を使ってスマートフォンで行うことが可能です。また、休日にリサイクルショップを巡って掘り出し物を探すなど、自分のペースで進められるのも魅力です。
時間に余裕がない人でも、日常の中でできる範囲から無理なく始められるビジネスとして、せどりは非常に取り組みやすい副業と言えるでしょう。
商売の基本が学べる
せどりは、「商品を安く仕入れて、高く売る」という商売の基本的な仕組みを実践しながら学べるビジネスです。一見シンプルな取引に見えますが、しっかりと利益を上げるためには、需要のリサーチや相場の把握、適切な価格設定などのスキルが求められます。
せどりを続ける中で、「何が売れているのか」「どのタイミングで仕入れるべきか」「どうすれば早く売れるのか」といった実践的な知識が自然と身につきます。こうした経験は、今後ほかの事業に展開する際にも大きな財産となるでしょう。
また、せどりのノウハウを活かしてブログやSNSで情報発信を行ったり、初心者向けのコンサルティングに発展させたりと、別のビジネスチャンスにもつながりやすいのが魅力です。
せどりのデメリット
せどりは初期費用が少なく、誰でも始めやすい副業として人気がありますが、注意すべきデメリットも存在します。実際に取り組む前に、リスクや注意点をしっかり理解しておくことで、思わぬトラブルや失敗を防ぐことができます。
仕入れ商品の選定に時間がかかる
せどりは誰でも始めやすいビジネスですが、「売れる商品」を見極めて仕入れるには一定のリサーチが必要です。特別なスキルが不要とはいえ、需要を予測せずに商品を選んでしまうと、在庫が売れ残り、利益が出ないどころか損失になることもあります。安く仕入れたつもりでも、需要がなければ意味がありません。
特に初心者のうちは、商品リサーチに時間がかかりがちです。軌道に乗せるには、どのような商品が売れやすいかを学び、少しずつ判断力をつけていく必要があります。また、中古品を扱う場合には、汚れや動作不良などのチェック・クリーニング・簡単な修理といった対応が求められることもあります。こうした作業も仕入れにかかる「手間とコスト」として考えておくことが大切です。
仕入れた商品が売れないことがある
せどりでは、流行やトレンドの影響を受けやすく、仕入れた商品が思うように売れないこともあります。「これなら売れるはず」と考えて仕入れた商品でも、いざ出品してみると需要が低かったり、競合が多すぎたりして、販売価格を下げざるを得ず、赤字になるケースも少なくありません。
特に人気ジャンルではすでに多くの出品者が参入しており、価格競争が激化しやすいため、慎重な価格設定とタイミングが求められます。
こうしたリスクを減らすためには、
- 自分でも使える商品
- 万が一売れ残っても少額の損失で済む価格帯の商品
を選ぶなど、万が一に備えた仕入れ判断も重要です。
せどりは仕入れがすべてともいえるビジネスなので、仕入れ前のリサーチと判断力が、最終的な利益を左右します。
仕入れ費用がかかる
せどりは少ない初期費用で始められる副業ですが、商品の仕入れには必ず費用が発生するという点には注意が必要です。WebライターやWebデザイナーのような「無形のサービス業」と異なり、せどりは実物の商品を扱うため、スタート時から現金を使う必要があります。
また、仕入れた商品が必ず売れるとは限らず、需要の変化やトレンドを読み違えると、在庫として抱えたり、値下げして売らざるを得ないケースもあります。特に、シーズンものや流行商品は、仕入れるタイミングを逃すと大幅な値崩れが起きるリスクもあるため注意が必要です。
せどりを始める際は、仕入れに使える予算をあらかじめ決めておき、売れ残りリスクも想定しながら無理のない範囲で仕入れることが大切です。
安定した利益の確保が難しい
せどりは、商品の売れ行きが季節やトレンドの影響を強く受けるため、安定した利益を出し続けるのが難しいビジネスです。需要に合った商品をうまく仕入れることができれば、すぐに収益につながることもありますが、流行が過ぎたり、市場環境が変化したりすると、急に売れなくなるケースも珍しくありません。
そのため、いつも同じ商品だけで継続的な利益を上げるのは困難です。せどりで安定して収益を得るためには、日頃から市場の動向や人気商品の変化に敏感になり、トレンドに合わせた柔軟な仕入れ判断が求められます。
発送作業に手間がかかる
せどりでは、商品が売れた後の梱包・発送作業に手間がかかることもデメリットのひとつです。注文数が少ないうちは1人でも対応できますが、件数が増えてくると、梱包や発送の作業時間が大きな負担になる可能性があります。
特に、ガラス製品や食器などの壊れやすい商品を扱う場合は、丁寧な梱包が必要となり、さらに時間と手間がかかります。破損が発生した際の対応や補償の問題もあるため、取り扱いには十分な注意が必要です。
こうした手間を減らすために、最初は壊れにくい商品を選ぶ、あるいは発送代行サービスを活用するなど、効率化を図る工夫も検討するとよいでしょう。
せどりのやり方
ここからは、せどりを始めるための基本的な流れをステップごとに紹介します。初心者が最低限知っておきたい準備内容や、仕入れ・販売の進め方についてもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
始める前の準備:法律上の注意点
せどりは誰でも始められる身近なビジネスですが、取り扱う商品によっては法律に違反してしまう可能性があることも理解しておきましょう。
特に以下のようなケースは、法律により処罰の対象となるおそれがあります。
- コンサートやイベントチケットを転売して利益を得る行為(チケット不正転売禁止法)
- 偽物のブランド品を本物と偽って販売する行為(商標法違反)
- 法律で販売が禁止されている物品の転売(例:医薬品、動物関連など)
- 酒類販売免許を持たずにアルコール飲料を転売する行為(酒税法違反)
- 地域によっては、迷惑防止条例に抵触する販売行為
これらを避けるためにも、仕入れる前に商品の性質や販売ルールを確認することが大切です。とくにブランド品や限定商品を扱う場合は、真贋の確認や販売許可の有無をしっかりチェックするようにしましょう。
仕入れ場所の選び方
せどりでは、どこで商品を仕入れるかによって利益率が大きく変わるため、仕入れ先の選定はとても重要です。
仕入れ先は複数確保し、こまめにチェックすることで、掘り出し物を見つけやすくなります。
以下は主な仕入れ先と、それぞれの特徴・ポイントです。
- インターネット通販・オークションサイト
出品者が相場を把握していない場合や、早く売りたいと考えている場合など、市場価格より安く仕入れられる可能性があります。フリマアプリ(メルカリ・ラクマ)やヤフオクなどが定番です。 - リサイクルショップ・レンタルショップ
中古品を扱う店舗では、思わぬ掘り出し物が見つかることもあります。レンタルDVDショップが販売している中古メディアなども狙い目です。 - 家電量販店やディスカウントストアの特売品
在庫処分セールやキャンペーンのタイミングで、まとめ買いによる利益確保も可能です。リアル店舗ならではの価格差を活かしましょう。
仕入れ先は定期的にチェックして、安定して仕入れができるルートをいくつか持っておくことが、継続的なせどりの成功につながります。
販売場所の選び方
せどりで仕入れた商品は、販売先の選び方によって利益率が大きく変わります。商品の種類や価格帯に応じて、適切な販売チャネルを使い分けることが重要です。
以下に代表的な販売先と、それぞれの特徴を紹介します。
- インターネット通販(Amazon、メルカリなど)
もっとも一般的な販売手段で、多くのユーザーにリーチできます。ただし、配送中の紛失や破損といったトラブルに備え、補償付きの配送サービスを選ぶのがおすすめです。アカウント評価や商品レビューも影響するため、丁寧な対応が求められます。 - リサイクルショップ・質屋への持ち込み
ブランド品や貴金属など、高額商品の現金化を素早く行いたい場合に有効です。相場より高く買い取ってもらえることもありますが、事前に複数店舗で買取価格を比較するのがポイントです。
このように、商品の特性や販売目的に応じて販売先を使い分けることが、利益を最大化するコツです。
せどりをおこなう場合の注意点
せどりは誰でも始めやすいビジネスですが、一定の収入が出てくると法律や制度に関する知識も必要になります。とくに、確定申告や古物商許可証といった手続きは、知らずに始めると後からトラブルになることもあります。
ここでは、せどりを行ううえで知っておきたい代表的な注意点を紹介します。
確定申告が必要な場合がある
せどりによって得た所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります(※給与所得がある会社員の場合)。申告の際には、商品の仕入れや発送にかかった費用などを「経費」として計上できますが、領収書が必要なので、日頃から保管・整理しておきましょう。
特に、以下のような経費に関する領収書は忘れずに保管しておくのがおすすめです。
- 商品の仕入れ費用
- 梱包材・発送費用
- 移動にかかった交通費(電車・バスなど)
また、所得が年間20万円以下でも、住民税の申告は必要となる場合があります。確定申告をしなくてよいケースでも、居住地の市区町村役所で住民税の手続きが必要になることがあるため、忘れずに確認しておきましょう。
場合によっては販売許可が必要になることもある
せどりでは、取り扱う商品によっては「販売許可(主に古物商許可)」が必要になる場合があります。知らずに販売すると法律違反になることもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
たとえば、一度でも誰かの手に渡った商品は、中古品として扱われます。未使用品であっても「個人から仕入れた商品」は中古品とみなされるため、古物商許可が必要です。古本・中古家電・中古ゲームなども同様です。
ただし、自分で使っていた物をフリマアプリなどで出品する場合は「生活用動産の処分」とされ、許可は不要です。
古物商許可の取得方法(概要)
- 申請先:営業所所在地の都道府県公安委員会(窓口は管轄の警察署)
- 費用:19,000円
- 申請書類:警察署または警視庁のWebサイトから入手可能
- メリット:中古品も安心して扱えるようになり、後々の事業拡大にも対応しやすくなります
また、お酒・化粧品・食品などは別途、販売許可や資格が必要な場合があります。これらの商品を扱う場合は、必ず事前に販売ルールや規制を確認しましょう。
青色申告をする場合は開業届の提出が必要
せどりを副業として始める際、開業届の提出は義務ではなく、提出しなくても罰則はありません。ただし、給与所得がある会社員などで副業の所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。特に、青色申告を希望する場合は注意が必要です。青色申告を行うには、せどりの開始から1ヶ月以内に、税務署へ「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
青色申告を行うことで、青色申告特別控除などの税制上の優遇措置を受けられるため、節税効果が期待できます。申告書類の作成や日々の取引管理には、クラウド型の会計ソフトやアプリを活用すると効率的です。初心者でも使いやすいサービスが多いため、早めに準備しておくと安心です。
せどりの仕組みを理解して、安心してスタートしよう
本記事では、せどりの基本的な仕組みから始まり、メリット・デメリット、実践の流れや注意点までを幅広く解説しました。せどりは、副業や個人事業としても注目されているビジネスですが、収益化には商品の選定やリサーチ、法的な手続きなど、知っておくべきポイントも多くあります。
だからこそ、事前に正しい知識を身につけておくことで、リスクを減らし、より安定した運営が可能になります。
はじめは少額から、無理のない範囲で取り組んでみるのがおすすめです。