2020年10月30日に開催された株式会社日立物流と株式会社ロジレスの共同WEBセミナーに、当社取締役の足立が登壇いたしました。
昨今のEC市場急成長に伴い、人手作業による物流業務の負荷が大きいことが、EC事業成長のネックと感じている事業者さまが多くいらっしゃるようです。
物流周りの省人化を検討しているが、知見がなく、どのような設備から導入したら良いか分からない…
自社で省人化設備を導入するには、コスト面でリスクがあるのではないか…
本記事では、そのような課題を抱えている事業者さまに向けて、
- 人の手による出荷から自動倉庫に切り替えることのメリット
- 日立物流への物流アウトソーシングと「LOGILESS」を組み合わせることで実現する受注後の業務効率化
についてご紹介していきます。
セミナー概要
▼タイトル
【月間出荷量3,000件のEC事業者は必見!】人手作業から最先端自動倉庫に乗り換えるメリットとは?
▼セミナー内容
自社のEC事業の成長に伴い、人手作業での物流業務の負荷が大きくなり、更なる成長のネックと感じている事業者さまは多いです。このような課題を抱えている事業者さまに向けて、今回は人手作業から最先端自動倉庫に乗り換えるメリットをお伝えします。
▼こんな疑問、課題をお持ちの事業者さまにオススメ
- 物流業務の省人化を検討しているが、知見がなく、どのような設備から導入したら良いか分からない
- 自社で省人化設備の導入を検討しているが、メリット・デメリットが分からない
登壇者プロフィール
株式会社日立物流
営業開発本部 サプライチェーン・ソリューション2部
杉山 太朗 氏
2018年日立物流入社。EC事業者さま物流業務委託の営業開発に従事し、化粧品、健康食品などの物流改善・立上げを経験。
そのミッションは、省人化倉庫のシェアリングでEC事業者さまの物流にかける手間とコストを削減し、トップラインの向上に貢献すること。
株式会社ロジレス
取締役
足立 直之
新卒で楽天株式会社に入社後、楽天ブックスにて3年間、出版社への営業や電子書籍事業の立ち上げなどを担当。2012年にロジレスの前身となる会社を立ち上げ、独自にECサイトを運営。自社の業務を効率化するためのシステム開発していくなかで、同様の課題を抱えている人たちの存在を知る。多くのEC事業者の課題を解決したいと、2017年に株式会社ロジレスを創業し、SaaSプロダクトとして提供開始。EC物流の問題をよりよい方向に解決していくことを目指す。
出荷業務をアウトソースしている事業者さまが抱える3つの課題・リスクは、自動化倉庫で解決できる
はじめに、EC事業者さまが抱えている物流業務に関する課題に対して、出荷業務のアウトソース先を「自動化倉庫」に変えることにより得られるメリットについて、株式会社日立物流の杉山氏(以下 杉山氏)より説明がありました。
出荷業務をアウトソースをしているEC事業さまが抱える3つの課題
杉山氏が指摘するEC事業者さまが抱える課題として以下のことが挙げられました。
- 人件費の高騰による値上げリスク
- 品質が安定しない
- コロナウイルス感染症の影響による、事業継続性の危機
この3つの課題を自動化倉庫がどう対応できるか、順番に解説していきます。
「自動化倉庫」とは、入荷から出荷までの各工程に、機械をうまく取り入れて自動化・省人化を実現した倉庫のことを指します。
課題解決1:省人化で人件費高騰の影響を受けにくくする
課題解決ポイントの1つ目として挙げられたのは、人件費に影響されにくい点についてです。
杉山氏からは、下記のような図が提示されました。
2020年から2026年までに、人件費は約19%上昇すると言われており、人の手に依存した出荷作業を続ける場合、作業費もそれに伴って上昇することを避けられません。
しかし機械作業による出荷を取り入れた、人手に頼らない自動倉庫を利用することで、人件費高騰の影響を受けにくくなり、作業費の上昇は抑えられるということでした。
人手作業と自動化を比較すると、約12%も作業費を削減し、人件費高騰のリスクを軽減できる試算が出ているとのことです。
課題解決2:機械で作業することで人的ミスや作業品質の差をなくす
2つ目の課題解決ポイントとしてあげられたのは、人の手による作業ではどうしても発生してしまうミスや品質差異を無くし、安定的に高品質な出荷を行うことができるということです。
倉庫内の作業で起こり得るミスの例として
- ピッキングリストの紛失
- ピッキングミス
- 納品書・送り状の紛失・貼付間違い
があります。
また梱包作業においても、人によって品質にばらつきが起きてしまいます。
ミスや品質差異を防ぐために目視でWチェックをしようとする場合、そこにも工数や作業費がかかってしまいます。
そこで、機械による作業を取り入れることで「高品質・標準化」が実現できます。
自動化倉庫では、例えば
- 出荷用の段ボール箱を自動で組み立てる(自動製函)
- システム制御によってピッキング棚が作業者の元に自動的に動く
- 出荷箱の外にユニークのバーコードを振り、そのバーコードを読み取って納品書を即時印刷・即時梱包する
といったことが実現でき、これまで手作業で起きていた誤ピッキングや誤納付などのミスを防ぐことが可能になるとのことでした。
課題解決3:3密を防ぎ、感染症等によるクラスター発生リスクを軽減することで、事業継続性のリスクを減らす
さらに、コロナウイルス感染拡大を背景として、省人化された倉庫ではクラスター発生のリスクを抑えることができ、事業が止まるリスクが少ないということにも言及していました。
従来の倉庫作業では、ピッキング棚や梱包台など、それぞれ密になる場面があります。これでは3密を防ぐことが難しく、万が一感染者が出てしまった場合には倉庫を一時閉鎖する必要も出てきてしまいます。
一方、自動化倉庫であればそもそも倉庫内に滞在する人が少ないことや、自動梱包でタッチレスに作業が行えることで、密を防ぎ、事業継続のリスクを回避することができると述べていました。
実際に利用されている事業者さまからは、ウイルス対策にも万全を期した倉庫で出荷しているということをお客さまへアピールできると好評をいただいております。
機械作業と人による作業は、お互いの良いところを活かしたハイブリッド型であるべき
倉庫業務の全てを自動化・省人化できるのかというとそういう訳でもありません。
例えば
- ギフトラッピング
- 複数商品のアソート作業
- のしやギフトのシール貼り
といった作業は、人による判断や人の手による丁寧な作業が欠かせません。
杉山氏は「計算された単純作業を高い生産性でできるのが機械による自動化の特徴」だと述べ、機械と人の手作業それぞれの良いところを活かしたハイブリッドな形の出荷業務が良いのではないかと提案されていました。
日立物流の自動化倉庫「スマートウエアハウス」とは
日立物流が2019年9月に稼働を開始した「スマートウエアハウス」は、埼玉県春日部市にあるECプラットフォームセンターです。
- 自動化設備と人手作業が融合していること
- 使った分だけの従量課金型であること(保管料+出荷料)
- 受注管理システム(LOGILESSなど)と連携していること
- 佐川急便・ヤマト運輸・日本郵便から配送方法を選択できる
- 出荷作業に必要なシステムを導入済みのため、最短1ヶ月から導入できること
が特徴としてあげられ、倉庫をシェアリングして利用することで固定費がかからないことがお客さまにとって大きなメリットとなります。
日立物流の「スマートウエアハウス」と「LOGILESS」を組み合わせて使うことで、倉庫の自動化だけではなく、受注〜配送までの自動化が叶う
次に、株式会社ロジレスの足立より、アウトソーシング先の倉庫だけではなく、自社で対応する必要のあるバックヤード業務をいかに効率化していくかについて解説を行いました。
従来のECバックヤード業務では、受注処理と出荷作業が分断されていた
ECでは、受注が入った後のフローとして
- 受注処理
- 出荷作業
- 配送
が存在しています。
これら全てのフローが全て行われれることで初めて出荷が完了し、お客さまの元に商品が届きます。
しかし、この中でも特に、受注処理と出荷作業は効率化が難しい領域とされています。従来のシステムではどうしても「受注処理」と「出荷作業」の間に切れ目が発生し、手動で対応する必要がありました。
足立によると、自社で全てをまかなっている場合は手作業で頑張って対応することができても、「出荷量が増えてきて出荷作業を外部に委託しようとすると、受注から出荷のデータ処理を自動化する仕組みを整えるしかない」とのことです。
LOGILESSを使うことで、受注以降のフローがスムーズになり、自動出荷が実現する
上述したフローの切れ目を1つのシステムでつなぎ、受注から配送までを効率化することができるのが株式会社ロジレスが提供している「LOGILESS」です。
「LOGILESS」と日立物流の「スマートウエアハウス」を一緒に使うことで、受注処理から出荷指示を出す部分を自動化することができ、さらに出荷作業にも機械での自動化を取り入れることが可能となります。
(自動出荷については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。「商品出荷までの業務を圧倒的に効率化できる「自動出荷」とは?実現方法などを徹底解説」)
LOGILESSはAPIを公開しており、モールやカートとシステム連携させることで注文データを自動でとり込みできます。
また、これまでは手作業で行なっていた受注処理も「マクロ」と呼ばれるLOGILESS最大の強みである自動処理機能を使って自動化してしまえば、複雑な処理であっても、自動で出荷指示まで流すことが可能となります。実際にLOGILESSを導入いただいているお客さまへヒアリングを行うと、約85-90%の受注を自動出荷で処理できているとのことです。
(マクロについてはこちらで詳しく解説しています。「LOGILESSなら物流代行でも柔軟な出荷作業が可能に!その理由とは?」)
ECサイトを複数運営していたり、出荷を行う倉庫が2つに分かれていたとしても、LOGILESSを使えば自動出荷に対応させることができます。
自動出荷ができることで、約9割の受注処理が不要に
このような自動出荷を実現することで、受注処理や出荷指示にかかっていた工数を削減することができます。足立によると、あるお客さまは「これまで10人で行なっていた業務を、1〜2人で対応できるようになった例もある」とのことでした。
Q&A
セミナー最後のQ&Aでは、事業者さまからたくさんの質問が寄せられました。
その内容を、いくつかピックアップしてご紹介します。
まとめ
本記事では、自動化倉庫を利用することのメリットや、自動出荷を可能にし、受注処理業務を効率化する「LOGILESS」のシステムについて、セミナーの内容を抜粋してご紹介しました。
以下、今回のセミナーでの重要なポイントです。
- 自動化倉庫を利用することで、省人化による人件費削減と感染症等のクラスター発生リスクの低減、および作業の高品質化・標準化を実現できる
- 日立物流の「スマートウエアハウス」は「従量課金型」なので、固定費がかからず、使った分だけの支払いで済み、稼働準備期間が比較的短い(最短1か月)
- 日立物流の「スマートウエアハウス」と「LOGILESS」を併用することで、出荷だけではなく、受注処理も自動化することが可能
ご不明点があれば株式会社ロジレスへお気軽にお問い合わせください。
また、物流アウトソーシングやLOGILESSについてもっと詳しく知りたい方のために、「LOGILESS早わかり3点セット」を用意しています。気になる方は、ぜひダウンロードしてみてください。