月間出荷量3,000件になる前に検討しよう!EC成長の肝になる”物流代行”の始め方

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2020年8月27日に開催された株式会社日立物流さま主催のWEBセミナーに、当社取締役の足立が登壇いたしました。

物量が増えてきたのでそろそろ物流代行を始めたいというEC事業者さまを対象に、物流代行サービスを始めるために知っておくべき基本的なポイント・上手な始め方をお伝えしました。本記事ではセミナーで語られた物流代行サービスの基本や物流代行費用の内訳、見積をとる際のポイント、物流倉庫を選ぶときの心構えをご紹介していきます。

もくじ

セミナー概要

▼セミナー名

月間出荷量3,000件になる前に検討しよう!EC成長の肝になる”物流代行”の始め方

▼概要

現在自社で物流業務を行っているものの、物量の増加や季節波動により、出荷対応が難しくなっているEC事業者さまが増えてきています。

「物流代行を検討しているがいろんな企業があってどこに頼んだらいいのかわからない」「適正な価格もわからない…」

そんなお悩みを抱えるEC事業者さまを対象に、上手な物流代行の始め方をお伝えします!

登壇者について

株式会社日立物流営業開発本部 サプライチェーン・ソリューション2部部長補佐  丹治岳士

株式会社日立物流

営業開発本部 サプライチェーン・ソリューション2部部長補佐
丹治 岳士 氏

2005年日立物流入社。顧客企業の物流を包括受託する3PLの営業開発に一貫して従事し、化粧品メーカー、化粧品卸、食品小売りなどの物流改善・立上げを多数経験。2017年よりEC物流を担当。そのミッションは、省人化倉庫のシェアリングでEC事業者さまの物流にかける手間とコストを削減し、トップラインの向上に貢献すること。1982年大阪生まれ、大阪育ち(和歌山寄り)。

株式会社ロジレス

取締役
足立 直之

新卒で楽天株式会社に入社後、楽天ブックスにて3年間、出版社への営業や電子書籍事業の立ち上げなどを担当。2012年に株式会社ロジレスの前身となる会社を立ち上げ、自分たちでECサイトを運営。自社の業務を効率化するためのシステム開発をしていく中で、同様の課題を抱えている人たちの存在を知る。多くのEC事業者の課題を解決したいと、2017年に株式会社ロジレスを創業し、SaaSプロダクトとして提供開始。EC物流の問題をよりよい方向に解決していくことを目指す。

登壇企業について

株式会社日立物流

ネジ1本から新幹線まで、様々な貨物の倉庫運営から輸送までを行なっている企業です。
物流業務を包括的に受託し最適なサプライチェーンを提供する3PL事業をコアとしており、卸・メーカー・小売の事業者等にサービスを提供しています。近年は特に、EC小売業者向けの部門を強化されています。

ECプラットフォームセンター

2019年9月からは埼玉県春日部市にEC物流向けシェアリング自動倉庫の稼働を開始しました。以下の特徴があります。

  • 自動化設備と人手作業が融合していること
  • 使った分だけの従量課金制であること
  • 受注管理システム(LOGILESSなど)と連携していること
画像提供:株式会社日立物流

株式会社ロジレス:EC自動出荷システム「LOGILESS」を提供しています。

LOGILESSは受注業務・出荷業務・在庫管理・倉庫管理を全て自動化可能なEC自動出荷システムです。

LOGILESS1つで、ネットショップと物流倉庫がつながり、ほぼ人の手を介することなくお客様の注文処理からお届けまでを完了する「自動出荷」が実現できます。

LOGILESSや自動出荷について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

「商品出荷までの業務を圧倒的に効率化できる「自動出荷」とは?実現方法などを徹底解説」

そもそも物流代行ってどんなサービス?

ではここから、セミナーの内容に移っていきます。

はじめに、今回のセミナーの中心となる「物流代行」がそもそもどういったサービスなのかについて触れられました。

物流代行とは、出荷データの取り込み〜出荷までの業務を倉庫を持つ企業に代行してもらうことを指します。

物流代行サービスについて

ECのミカタとの共同アンケートで見えた、物流代行利用の実態

次に、株式会社ロジレスとECのミカタ(ミカタ株式会社)が共同で行った調査からわかった、物流代行利用の実態や実際に感じているメリットや課題を紹介しました。

1:物流代行を利用しているネットショップは37.1%

まずは利用割合についてです。

現在物流代行を利用しているネットショップの割合は37.1%と最も高く、物流代行を検討したことがある企業は23.1%という結果となりました。

また、過去利用していたことがある企業が5.2%と少ないため、一度物流代行を導入すると長く使い続けるネットショップが多いと示唆されます。

物流代行を利用中の割合
LOGILESSお役立ち資料:「EC事業者の受注・出荷業務」に関する実態調査レポート<ダウンロード可能>

2:物流代行のメリットは「業務効率化」と「自社で労働力を確保しなくて良いこと」

物流代行を導入したネットショップが実際に感じているメリットで、1位に上がったのは「業務効率化が進むこと」でした。

さらに、導入したネットショップの多くは「自社で労働力を確保しなくて良いこと」もメリットに感じているようです。

物流代行利用のメリット
LOGILESSお役立ち資料:「EC事業者の受注・出荷業務」に関する実態調査レポート<ダウンロード可能>

3:物流代行のデメリットは「柔軟な対応ができなくなること」と「コストが上がること」

一方で物流代行に感じる課題として多く上がったと述べられたのは「状況に応じた柔軟な対応ができなくなること」でした。

物流代行に関する課題
LOGILESSお役立ち資料:「EC事業者の受注・出荷業務」に関する実態調査レポート<ダウンロード可能>

また、検討段階で感じるデメリットとしては「費用が高くなりそう」があげられていました。

物流代行を利用していない理由
LOGILESSお役立ち資料:「EC事業者の受注・出荷業務」に関する実態調査レポート<ダウンロード可能>

さらに調査結果について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

「ECのミカタ共同調査!物流代行サービスや受注/倉庫管理システム導入のポイントは?」

EC業務における物流代行の位置付け:事業拡大の要となる

丹治氏は「事業拡大を検討するのであれば、ECバリューチェーンの各機能間の連携を重視し、全体最適な仕組みづくりを構築する必要がある。」と語り、物流代行が担う業務を「EC運営業務を効率化し、事業拡大につなげるための重要な手段」と位置付けています。

例えば各機能間のデータ連携に作業コストがかかりすぎて、本来の販売業務に注力できていないなど、目先のコストだけでは判断できない問題が指摘されていました。

売上向上のためのショップ構築や顧客管理・広告分析が大事であるのと同じように、納期短縮などのサービスレベル向上のためにも、物流代行の倉庫の立地や作業方法・配送方法が重要だとしています。

物流代行の流れ
画像提供:株式会社日立物流(セミナー資料より抜粋)

物流代行価格の内訳や見積のポイントを徹底解説

次に、物流代行をどのように選ぶかということについて、具体的な費用項目をあげながら価格の観点で解説が行われました。

倉庫費用の価格の内訳は業者によって異なるので注意が必要

倉庫費用の経費は、大きく分けて下記の5つに分かれるとのことです。

倉庫費用の経費内訳

丹治氏によると、これらの費用一つ一つの中にも細かい分類があり、さらには物流代行会社によって

  • 月額固定制なのか変動制なのか
  • 何をどの項目としてカウントするか

などが異なってくるため、見積を複数社取った時に比較が難しくなる場合が多いとのことでした。

正しく比較するために、同じ条件で中長期を見据えた見積が必須

そこで、複数社から見積を取り比較する場合のポイントについて丹治氏から2つのことがあげられました。

1つ目:複数社比較時には同じ条件(物量、稼働曜日等)で公平に比較すること

「もし物量が違う見積が出てきた場合、各社の料金体系が違うと、単純な計算では比較しづらいため」です。「同じ条件で見積を出してもらい、総額いくらかかるのかで判断することが求められます。」と述べました。

2つ目:今後の物量変動でコストシュミレーションしてみて、長期的なコストメリットを出せるかを確認すること

例えばA社とB社を比較した場合、現在の物量では保管費が安価なA社の方が安いが、物量が今の2倍になると出荷作業費用の安価なB社の方が安い、といったケースも考えられます。そのため現状の物量で単に安い方を選ぶのではなく、今後のネットショップの成長を見据えて料金体系がベストなところを見つけるべき、とのことでした。

Q&Aから見えてきた、物流代行を選ぶときの心構え

セミナー最後のQ&Aでは、物流代行導入を検討している参加者の事業者さまからたくさんの質問が寄せられました。

EC事業者から寄せられた質問の中で、物流代行を始める時の心構えについても触れられていたので、ここではいくつかご紹介します。

1:自社のオペレーションをそのまま外注しようとしない

EC事業者:物流代行を導入すると柔軟な対応ができなくなりそうだと懸念している。実際にどのようなケースが問題となっているか?

丹治氏:従来は自分たちの社内で保管していた商品が物理的に離れた倉庫で保管されることになるので、急な検品が必要なときすぐ行うということができなくなる。

こういった理由から「本社近くの倉庫を使いたい」という要望がでることが多いが、このような業務を継続していると業務拡大の可能性を狭め、3PLを導入するメリットが非常に少なくなる。物流代行を始めるなら、自社の業務を見直し、チェック頻度を減らせるようなオペレーションを構築する必要がある。自社業務を何もかも踏襲したうえで、物流代行を導入しようとすると、作業時間がかかったり、コストがかさんだりする。

自分たちが今やっている業務をそのまま代行業者にやってもらう、という考え方では物流代行はうまくいかないので、「そもそもこの業務が必要なのか?」という見直しを行うことが必要である。

2:作業内容・頻度をあらかじめよく相談した上で物流代行を始めること

EC事業者:例えば商品の汚れ・カビの目視チェックなどは、入荷時に毎回倉庫で行ってもらえるのか?

丹治氏:物流代行の稼働が始まる前に倉庫運営側と作業内容についてやりとりをして決めておけば対応してもらうことは可能。例えば通常は外装検品(箱がつぶれていないか、外観のチェックを行う)のみをしている倉庫でも、事業者側の要望によっては、一定数量のみ取り出してのランダムチェックや全数量チェックを行ってもらうこともできる。作業コストと質のバランスを検討することが重要である。

3:標準化できない業務は物流代行に向かない

EC事業者:物流代行が向かない業務はどのようなものか?

丹治氏:物流代行をお願いできないのは「標準化できないもの」。例えば、特別なギフトラッピングや手書きのお手紙など。こだわりたい業務だけを自社で対応し、標準化できるものはアウトソースするやり方もある。

4:何をもって「コストが上がった」と捉えるかの観点

EC事業者:「コストが高くなったので物流代行をやめた」とアンケートにもあったが、実際のケースについて知りたい。

丹治氏:自社ビルの空きスペースに在庫を置いている場合だと、物流代行を利用することで保管費が純増したように見えてしまうケースはある。また出荷業務にかけている人数が少ない場合も、業者に委託する方が高くなったと感じる事業者が多い印象だが、同じ人件費をかけるのであれば、プロに任せることで出荷効率が上がるという考え方もできる。また急な物量の変動に応じて人を確保しなくてよくなるというメリットもある。

特に物量が伸びている場合は、出店モールが増えるなどしてますます出荷増減が読みにくくなってくるので、その波に備えてアウトソースを行い、人件費を変動費化しておくのは合理的だと思う。

そのため、見積時には現状コストとの単純比較を行うだけではなく、今後自社のネットショップがどのような成長を望んでいるかによって、中長期的な目線でコストメリットを得られるようにする判断を下すのが良い。

5:倉庫を決める前に現場を見に行くべき

EC事業者:倉庫選びの基準は何か?

丹治氏:1点目はコストの観点。在庫や出荷数の増減によって変動する品目は確実にチェックし、物量が増えた時のシミュレーションが必要。さらに、倉庫の営業の人が言うことを鵜呑みにするのではなく、実際に現場を見に行くのが良い。実際にものを預けることになる場所なので、作業員の熟練度や倉庫の綺麗さ・オペレーションが構築されているかを確認することは重要。現場を見ずに倉庫を決めて失敗した、という例も聞いたことがある。

まとめ

本記事では、物流代行サービスの基本に始まり、実際に導入を検討する際に重要な比較検討ポイントについて、セミナーの内容を抜粋してご紹介しました。

以下、物流代行を検討する場合の重要なポイントです。

  • 全ての業務を委託しようとせず、必要な業務を見直すこと
  • 複数の見積を比較するときは同じ条件で、総額を見て判断する
  • 物流代行コストの内訳を理解し、事業拡大に伴う物量変動を加味した長期的な視点でコストメリットを検討すること
  • 必ず作業現場を確認すること

物流代行やLOGILESSについてもっと詳しく知りたい方のために、「LOGILESS早わかり3点セット」を用意しています。気になる方は、ぜひダウンロードしてみてください。

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